【記事紹介】野党提出の「保育士等処遇改善法案」は、「国民の怒りを、既存施設への補助金バラマキにすり替えた『火事場泥棒法案』」と一刀両断。鈴木亘学習院大学教授が語る「保育士の賃上げをしても待機児童はなくならない」(「Wedge」 記事、2016年5月号)

投稿者: | 2016年5月2日

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「Wedge」5月号

【5月2日、さくらフィナンシャルニュース=東京】

「保育園を落ちた日本死ね」と題する匿名ブログを取り上げて、待機児童問題に対する不満を、安倍政権側に対応せざるを得ない状況にさせたことは、野党側の貢献を言っても良い。

しかしながら、鈴木氏は、民主・維新(現:民進)、共産、生活、社民の野党が衆議院に提出した、保育士等の給与を月額5万円引き上げる「保育士等処遇改善法案」を、「火事場泥棒法案」と批判する。

(1)待機児童が深刻な都市部以外の無関係な地方にも及ぶこと
(2)私立保育園の保育士だけでなく、待機児童と直接関係のない事務職員や調理師、幼稚園教諭、自動養護施設職員、学童保育指導員にまで対象を広げていること。

鈴木教授は、「月額22万円、全産業平均よりも11万円も低いとされる保育士の給与は、私立保育園のみで計算された数字である。認可保育園の約4割を占める公立保育園の給与は計算に含まれていない。公立保育園の保育士は公務員なので、民間保育士の給与をはるかに上回る」と指摘する。

(3)「補助金が保育士に直接支払われず、施設経営者に支払われる。

同じく鈴木教授は、「私立保育園の多くは「社会福祉法人」であり、世襲制の家族・同族経営や行われている場合が多い。補助金がきちんと保育士に回らず、経営者一族の取り分になる可能性もある」と指摘している。

以上から、鈴木教授は、「2840億円の財源が用意されたとしても、薄く広く撒かれてしまって、対策の効果は小さい」「要するにこの法案は、保育労組、保育団体、幼稚園団体に対する選挙対策と考えるべき」と結論している。

待機児童問題が解決しないのは、「保育料価格が固定され、新規参入も規制され」「競争が起こらず、高コスト体質が既得権化している」として、日本の保育行政が「社会主義」であることを批判し、待機児童問題を解決するための方法として、「保育園を利用する親たちには政府が「バウチャー」という子育てクーポン券を配る」というのが、経済学者の処方箋だとしている。

こうやって考えると、民進党側の対応策よりも、第二次安倍政権の取り組みの方が、「レス・ワース」だと思えるところだ。一般のテレビや雑誌では、ここまで的確な解説は珍しいだろうから、待機児童問題に関心のある読者は、ぜひ一読をお勧めする。【了】

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