【コラム 上村聡】女優・川島なお美さんの死に思う、科学と信仰あるいは疑似科学としての代替療法

投稿者: | 2015年9月30日

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女優の故・川島なお美さん

【9月30日、さくらフィナンシャルニュース=東京】

女優の川島なお美さんが、ひどくやせこけた姿でメディアの前に現れたかと思うと、あっという間に亡くなった。芸能界にさほど興味のない私でさえも、その事態の急変ぶりには驚きを禁じ得なかった。あるいは急変では無く、己の死期を悟った女優が最後の力を振り絞って、ファンへのお別れを半ば無意識的に行ったのかとさえ思う。

この報道について気になる事がひとつあった。この女優は治療を受けていなかったということである。たぶん医療機関での標準治療を受けることはせずに代替療法を受けていたのだろう。余命宣告までなされていたとの事で、5年生存率の中に自分はカウントされないと思い知ったときに、闘病者として余命を生きるのではなく、女優として生きることにしたのは、それはそれで1つの選択として尊重されるべきであろう。

代替え療法という言葉はいつ頃からはじまったのだろうか。実は筆者のまわりにも病に苦しんでいる者がいて、標準治療が終わってしまったというケースがあるのだ。つまり、最大許容量の放射線治療が終了し、かつ化学療法も効き目が無くなりつつあり、緩和ケアの紹介で終わりという辛さ。

そのような状況でネット検索すると、先進医療に似た民間医療機関と同時に、代替療法も少なからずヒットする。それは玉石混淆であると同時に、科学と信仰の区別がつかない事業体の様を見る事もできる。

医師の行わない代替療法は医療ではない。医学的根拠や科学的知見には背を向けて、ひたすら効能を説く。例えばA液という飲料水がガンに効く。医者から見放された患者が生き延びた。理由はともかくこれは効くのだ。本当に効いたのだ。助かったのだ。だから君もこれを飲むがよい。それもいいだろう。それが信仰のままであるならば。

エホバの証人という宗教教団がある。聖書の教えとして輸血を拒否する事で、かつて社会的に注目されて、裁判沙汰にもなったことがある。彼らは輸血拒否をもっぱら信仰に由来するものとして、医学的根拠を突きつける事はない。それがゆえ、一定の理解とともに医療機関に受け入れられて、むしろ輸血をしないで住む手術法が開発された契機にもなったと聞いた事がある。ドイツで活躍された亀田正医師もそのお一人と記憶している。

しかしながら、代替療法のなかにはわざわざ科学的根拠がないか希薄である異端の科学を持ちだして、その正当性の根拠とする場合がある。そしてその疑似科学的論法を現代医学からの迫害受難者として扱うのである。あるいは現代医学は国際的複合企業の金儲けのためにあり、医療の正当性は異端医療の中にこそあると主張する。そこには異端医療に対する信仰を見る事ができる。

エホバの証人の輸血拒否は信仰の主張ゆえ医療はそれに対応する事ができて、むしろ輸血を避ける方法論の推進の一翼を担ったのだろう。翻ってみるに代替療法は信仰に科学の衣を着させようとしてほころびが目立つ。無理な理論付けは、実は代替療法の中にも潜んでいるかもしれない大切な事実の芽をも摘み取っているように見えてならない。【了】

上村聡(かみむらさとし)/ 予備校教員・教材開発
1957年(昭和32年)鹿児島生まれの東京育ちで、現在練馬区在住。日本大学理工学部物理学科卒業後、科学記録映画のヨネプロダクション等で企画・脚本・演出を10年経験してのち、塾・予備校講師歴25年。現在は個人事業主として、講師業の他、自分でこつこつeラーニング研究を始め、独自の教材開発中。大学卒業後、一貫して白色申告者。一度も正規雇用されたことはなく、それでも分譲マンションは都市銀行からの融資を通して取得できる程度の稼ぎはあった。それが少しは自慢できる程度の、どこの馬の骨ともしれない教員免許非取得者。さくらフィナンシャルニュースで、全国区のコラムニストデビュー。

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