【特報】ぜひクックパッド株主総会招集通知で公開、岩倉正和弁護士「監査委員 岩倉正和の補足意見」の一読を

投稿者: | 2016年12月31日

iwakura
岩倉正和弁護士/西村あさひ法律事務所のHPより

【12月31日、さくらフィナンシャルニュース=東京】

年明けにTMI法律事務所へ移籍する岩倉正和弁護士が、クックパッド(東証1部、証券コード2193)の本年2016年3月24日に開催された定時株主総会の招集通知に、「監査委員会 監査報告書」内「監査委員 岩倉正和の補足意見」が記載されており、秀逸な内容となっているため、読者に一読を促すため、以下にリンクをつけ、引用する(太字については、編集部による)。

https://cf.cpcdn.com/info/assets/wp-content/uploads/20160303081613/kabunushishousyuu12.pdf#page=62
以下、同社の3月24日開催の第12回定時株主総会招集通知に記載されている、2月19日付「監査委員会 監査報告書」内「監査委員 岩倉正和の補足意見」より。

「3. 監査委員 岩倉正和の補足意見 本事業年度末後に、但し本事業年度末直後に、生じた重要な後発事象として、2016年1月8日付で、佐野陽光取締役が、当社に対して、他の株主3名と共に、「株主提案書」を送付した事実が生じており、かかる事実及び本事業年度中に生じたそれに関連する事項について、監査委員として、全監査委員が合意した前記監査意見に補足して、以下、意見を述べる。

同提案書は、「提案の理由」中に、「一部の取締役は、唐突に『特別委員会』なる組織を設置し、必要性もない のに多額の費用をかけて得た専門家の意見を濫用し、公正中立を装った『勧告書』なる文書を発して現在の自らの経営を正当化するなど、当社内に不要な亀裂と混乱を生じさせています」と、客観的事実に反する記載を行い、2015月10月30日に当社指名委員会において内定した、当社第12回定時株主総会で選任する当社の取締役候補者を、佐野取締役以外は全て入れ替え、佐野取締役及び同提案書記載のその他7名の候補者を選任する 旨提案したものである。(なお、同株主提案は、佐野取締役及び他の3名の株主により2016年2月12日に取り下げられ、かつ、佐野取締役は、上記「提案の理由」の記載が客観的事実に反するものであることを、同日開催の当社指名委員会及びその直後に開催された当社取締役会において、当社社外取締役に対して自認した。) また、佐野取締役は、2016年1月15日開催の当社指名委員会において、当社社外取締役から上記株主提案書、 特に、上記の客観的事実に反する「提案の理由」について質問されたのに対して、合理的な理由なく、一切の説明を拒否し、更に、外部の弁護士に委任して、上記株主総会において取締役選任議案について委任状争奪戦を行う準備を進めた。

そもそも当社は、2015年11月27日開催の取締役会において、当時の当社の執行部による事業遂行が当社の利 益を損ねているとの佐野取締役の主張を受けて、当社の企業価値の最大化に資すること及び少数株主の利益の 正当な保護を目的として、当社の社外取締役5名から構成される特別委員会を設置し、外部の当社から独立し た財務及び法務アドバイザーを起用し、佐野取締役の主張する事業計画案と(佐野取締役を含む全取締役がこれまで承認してきた)当時の執行部が推進する事業計画のどちらが上記目的に適うかを慎重に精査、検討し、同特 別委員会は、同年12月18日、当時の執行部の事業計画を推進することが、より当社の企業価値の最大化及び少数株主の利益の正当な保護に適うとする「勧告書」を当社取締役会に提出し、それを受けて、当社取締役会は、 同勧告書を承認する決議を行った。(なお、佐野取締役は、同取締役会に出席しており、当社代表執行役穐田誉輝取締役と共に、特別利害関係人として決議には参加しなかったが、上記決議後、同取締役会において、同勧告書を受け入れる旨、取締役会に対して表明した。)
しかるに、佐野取締役は、上記株主提案を行い、また委任状争奪戦を行おうとすることによって、上記2015年12月18日当社取締役会で、当社が推進すべきものとして決議した執行部の事業計画が前提とする当社の経営体制を覆そうとしようとしたものである。即ち、佐野取締役は、当社取締役会が承認した、当社の企業価値の最大化及び少数株主の利益の正当な保護を目的として構成され、慎重な精査、検討を行った特別委員会の上記勧告書の内容を、当社取締役の立場を離れて自らの株主としての立場を優先し、その有する当社の総株主の議決 権の数に対する43.581%の議決権を奇貨として、上記株主提案及び委任状争奪戦を行うことによって否定しようとしたものであり、妥当とは考えられないものと指摘せざるを得ない。

その後、佐野取締役と現執行部とは、2015年2月5日、本年3月に開催される予定の当社第12回定時株主総 会において、当社の取締役の定員を当社定款を改訂して従来より1名増員して9名とし、うち6名は佐野取締役を含めた他の株主3名による株主提案における候補者とし、残りの3名を現任の取締役の一部を候補者とすることにより、取締役候補者の「一本化」を諮る合意を行い、当社指名委員会に対して、同月12日開催の当社指名委員会において、佐野取締役らが前記株主提案を取り下げることを前提として、上述の従来内定していた 取締役候補者を変更して、当該合意に沿う取締役候補者として選任する旨要請した。(なお、佐野取締役らは、前述のとおり、同日、株主提案を取り下げている。) その結果、同日、当社指名委員会は、上記の従来の内定 取締役候補者を変更し、また、同月12日、佐野取締役と候補者現執行部との間の当該合意に沿った取締役候補者の指名決議を行い、かかる決議により決定した取締役候補者についての選任議案が、当社第12回定時株主総会における会社提案に係る取締役選任議案となったものである。(但し、本補足意見提出監査委員は、同月12日の当社指名委員会において、従来の内定取締役候補者に反する部分については反対し、佐野取締役の選任については棄権した。)

以上の経緯のもとで、まず、佐野取締役の行動については、前述の当社特別委員会の勧告書及びそれを承認した当社取締役会の決議を、それらを変更すべき合理的理由もなく、更に、上記客観的事実に反する記載のある 株主提案書の内容について説明することを当社指名委員会において社外取締役から求められたにもかかわらず、 一切の説明を拒否しながら、当社の取締役としての立場を離れて、自らが当社の総株主の議決権の数に対する 43.581%の議決権を保有する株主としての立場に基づき、かかる議決権保有比率を奇貨として、上記2015年 12月18日付取締役会決議を無意味なものとし、かつ同決議で採用されなかった自らの考える事業計画を通そうとするべく、現執行部と上記合意を結んで当社の経営体制を変更しようとしたものであり、取締役としての善管注意義務に違反するとまでは言えないものの、前記取締役会決議の趣旨からすれば、当社の企業価値の最大化と少数株主の利益の正当な保護に反するおそれがあり、その方法も含めて、妥当ではなかったものと指摘せざるを得ないものである。(なお、もし仮に、日本法上、取締役が株主に対していわゆる信認義務(fiduciary duty)を負うのであれば、佐野取締役の行動は、当該信認義務に違反するおそれがあると思料するものである。)

次に、執行部については、第一に、佐野取締役の前記の諸行動は、その持株比率からして、少なくとも株主、投資家の判断に重大な影響を与えるものであることは明らかであるにもかかわらず、社外取締役からの要請を受けても、その内容を適切かつ適時に開示せず、中途半端な内容及び時機に遅れた開示(特に、佐野取締役らの 株主提案書を受領したにもかかわらず、社外取締役からの要請を受けても、受領の事実及びその内容を速やかに開示しなかった。) を行った点は妥当ではなかったと指摘せざるを得ず、第2に、佐野取締役が当社の総株主の議決権の数に対する43.581%の議決権を保有するため、佐野取締役が準備していた当社第12回定時株主総会 における委任状争奪戦で敗れることを恐れて、2015年12月18日の当社取締役会決議に反する内容の合意を佐野取締役と結んだ点において、問題なしとは言えないと指摘せざるを得ないものである。しかしながら、現執行部の上記両問題点は、いずれも当社の総株主の議決権の数に対する43.581%の議決権を保有する佐野取締役の議決権を前提として、株主総会において委任状争奪戦となった場合に、当社の信用、ブランドが毀損されるおそれがあることを慮ったものであると考えられ、他方、株主総会において他の少数株主の意見を聴いてから 判断すべきであるとの考え方もあり得るところではあるが、これを一方的に非難することまではできないものと考えられ、経営判断原則で認められる経営者の合理的裁量の範囲をギリギリ超えないものと評価すべきものと思料されるところである。

以上により、本補足意見提出監査委員は、他の監査委員と共に監査意見本文については同意するものの、上記 補足意見を提出するものである。 」

【了】

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